厚生労働省は、2018年度内を目指しすべての食品等事業者を対象としたHACCPによる衛生管理の制度を進めると発表しました。(2017年10月4日)
業界・大手・中小の規模を問わず義務づけられることになります。
特に厚生労働省が発表した2016年の 食中毒発生状況 を見ますと、その 60%は飲食店 での発生でした。個店などを含めて衛生レベルを上げていくことが狙いのようです。
HACCPの義務
*一般的な衛生管理 5S 1. 整理 2. 整頓 3. 清掃 4. 清潔 5. しつけ
*衛生管理 7S 5S (整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)+ 6. 洗浄 7. 殺菌
上記内容を、継続的に監視することをあげています。
また、厚生労働省は
「HACCPの考え方に基づく衛生管理のための手引き書
(小規模な一般飲食店事業者向け)
を発表しています。PDFで誰でも印刷・閲覧できるようになっています。
そのなかで、3つの実施項目が挙げられています。
1. 衛生管理計画の策定
2. 計画に基づく実施
3. 確認・記録
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028.html
*義務化具体的内容
1.「一般的衛生管理プログラム」の着実な実施
施設・設備の構造作り・保守点検・衛生管理、機械器具の保守点検・衛生管理、従業員の衛生教
育などに関わる事項
一般的衛生管理プログラム10項目
1.施設設備の衛生管理
2.従事者の衛生教育 ※マニュアル必須
3.施設設備および機械器具の保守点検
4.そ族(ネズミ)・昆虫の防除
5.使用水の衛生管理
6.排水および廃棄物の衛生管理
7.従事者の衛生管理
8.食品等の衛生的取り扱い
9.製品の回収方法
10.製品の試験検査に用いる機械器具の保守点検
2.「衛生管理計画」の作成
全ての食品事業者は「衛生管理計画」の作成が必須。
衛生管理計画は、食品などの製造・加工・調理などを行う施設ごとに、一般的衛生管理プロ
グラムとHACCPによる衛生管理について作成。
3.衛生管理計画書の作成基準は業種によって大きく2種類に分かれる
衛生管理計画書を作成するにあたっては、業種によって「基準A」と「基準B」の2種類の作
成基準が設けられます。
基準Aは主に食品製造事業を対象。
基準Bは、HACCP7原則に基づく衛生管理が容易ではないか、あるいは必要ではない、小規
模事業者や飲食事業者などのためのもの。
衛生管理計画書の作成基準は2種類
基準A
(食品製造事業対象)
一般的衛生管理プログラム &
HACCP7原則に基づいて作成
一般衛生管理プログラム
+
HACCP7原則に基づく衛生管理
|
基準B
(小規模事業者や飲食事業者)
一般的衛生管理プログラム & 必要に応じ、HACCPの考え方に基づいた
重要管理点を定めて作成
一般衛生管理プログラム
+
事業者の実業を踏まえた手引き書などを参考に必要に応じて重要管理点を設けて管理
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基準Bの対象事業者
●小規模事業者
●当該店舗での小売販売のみを目的とした製造・加工・調理施設
例)菓子製造販売業、食肉販売業、魚介類販売業、豆腐製造販売業、弁当調理販売業等
●提供する食品の種類が多く、変更頻度が頻繁な業種
例)飲食店、給食施設、そうざい製造業、弁当製造業等
●一般衛生管理による管理で対応が可能な業種
例)包装食品の販売業、食品の保管業、食品の運搬業等
*HACCPの中身を理解する - 7原則・12手順
7原則とは |
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原則:1
危害分析 |
原則:2
重要管理点の決定 |
原則:3
管理基準の設定 |
原則:4
モニタリングの方法 |
原則:5
改善措置の決定 |
原則:6
検証方法の設定 |
原則:7
記録の維持管理 |
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12手順とは |
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1.HACCPチームの編成
適用の動きを取りまとめる担当者を決めます。1名でもOK
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2.製品についての記述
自社の製品に関する情報を表などにまとめる
●製品の名称及び種類 ● 原材料・添加物の名称 ● 製品の特性(Aw、pHなど) ● 包装形態、単位、量 ● 容器包装の材質
● 消費期限、賞味期限、
保存方法 |
3.使用についての確認
製品が食される方法、対象消費者を一度確認
例えば)
● 加熱して食べるものか、その まま食べるものか。
● 一般の消費者が食べるのか。 乳幼児、高齢者などが対象か
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4. 製造工程一覧図、施設の
図面及び標準手順書の作成
原材料の受け入れから保管、製造・加工、包装、出荷までの流れがわかるよう記載する
(図面・手順書) |
5.現場確認
手順4で作成した図面や手順書に誤りがないか、実際の現場の状況と照らし合わせて確認する
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6.危害分析
- 原則1 -
製造工程ごとにどのような危害要因(健康に悪影響を及ぼす原因)が潜んでいるか考える
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7.重要管理点の決定
- 原則2 -
危害要因を予防・除去・許容範囲まで低減させるために、特に厳重に管理する必要がある工程を重要管理点として定める
例)● 加熱殺菌工程
● 冷却工程
● 金属検出工程 |
8.管理基準の決定
- 原則3 -
重要管理点を管理する際に、安全か否かを区別するためのモニタリング基準を定める
例)● 温度の計測箇所
● 最低加熱温度
● 最低加熱時間
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9.モニタリング方法の設定
- 原則4 -
重要管理点でのモニタリングの担当者、観察・測定手段、頻度を決めます。モニタリング結果は記録をとる
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10.改善措置の設定
- 原則5 -
モニタリングの結果、管理基準を逸脱した場合は改善措置を講じる。改善措置は記録をとる
例)1. 基準を達成しなかった 製品を区分けする
2. 機械などの故障の原因 と特定し、復旧させる
3. 温度計やタイマーなど を校正する
4. 区分けした成否の処分 (廃棄など)を決める |
11.検証方法の設定
- 原則6 -
全体の検証
(妥当性確認・定期的な見直し)
重要管理点ごとのプランの検証
(モニタリング測定器の校正、中間・最終製品の試験検査など)
その方法
(担当者、内容、頻度、記録方法、検証結果の点検者)を定め検証は記録をとる
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12.記録の維持管理
- 原則7 -
●モニタリングの実施記録
●改善措置の実施記録
●検証の実施記録
●一般的衛生管理プログラムの実施記録など
●HACCPの実施記録は1年以上保存責任者を指定して保管
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*法令・ルールを知らずに意図せず違反状態を放置してしまうと、適切な衛生状態が維持できず、
●「顧客の流出」
●「風評被害」
●「信用低下」
●「罰則処分(懲役・罰金)」
●「営業停止処分」
を招くリスクが高く発生するかもしれません。
参考)https://www.nihonboueki.co.jp/rule/
*食中毒が発生しやすい可能性
食中毒菌のノロウイルスは常在菌で発症しない人でも保有していることがまれにあります。
菌の保有者 → 1 冷蔵に入ったり
2 食材等を素手で触ったり
3 トイレで手を洗わずにドアノブに触れたり
菌が、調理器具・食材・テーブルに触れたりすることで菌が手から手へと移っていきます。
調理をしていれば、料理の中に入ってしまうのは当然のことになってしまいます。
発表前:
事業者が食中毒事故などを起こした場合は、保健所が原因を調べて 「ここを直しなさい」 と指導などをしてきました。そして、数日間の 営業停止後に再開 することもできました。
裏を返せば、事業者はお役所にある程度守られている環境にありました。
発表後:
HACCP制度化は2018年度内を目標に進んでおりますが、実施した場合数年間は移行期間があると考えられます。完全実施でHACCP手法をしないで食中毒事故などを起こせば、営業許可を出さない罰則 も考えられていますので事業者の責任がいっそう明確になっていくでしょう。
*網走管内の講習会の情報
網走保健所でHACCP講習会を実施しているようです。
下記内容
網走会場(基礎・専門講習会):網走保健所生活衛生課
平成30年2月27日〜3月1日
網走保健所にて
参考)北海道庁HACCPニュースより
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kse/haccp/news-ichiran.htm
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